幻のロシア絵本「初めての狩」ビアンキ/ミトゥーリチ/フレーブニコワ、日本語・ロシア語併記

初めての狩

初めての狩
ヴィターリイ・ビアンキ/作 ピョートル・ミトゥーリチ/絵
ヴェーラ・フレーブニコワ/彩色 片山ふえ/訳 未知谷

本の状態など詳しい情報はこちらでご覧いただけます。

動物童話・絵本でシートンと並び称される、ロシアの児童文学作家
ヴィターリイ・ビアンキの作品です。
絵を描いているのは、現代ロシアグラフィック派の創始者
ピョートル・ミトゥーリチと、ヴェーラ・フレーブニコワご夫妻です。

庭でオンドリを追いかけるのにあきた仔犬が、野原の動物や鳥を
捕まえようと狩に出かけます。

野原の動物や鳥や虫たちはみんな自分の身を守れるようにできているのです。
仔犬は捕まえられないどころか、小さな虫にやっつけられて逃げ帰っていく
というおはなしです。

その様子が調子のいい文章でいきいきと語られるなかで
敵に出会った時にどんな行動をとるのか、動物たちが生態が描かれています。

この絵本(原書)は「1920年―30年の幻のロシア絵本」として展覧会に出品され
訳者の片山ふえさんが導かれるように出会ったと「あとがき」に書かれています。

ロシア革命の後、ロシア・アバンギャルドと呼ばれる芸術運動が起こります。
その中、1920年頃から前衛的な優れた詩人や画家たちの手による
絵本の黄金時代が訪れます。
国家の統制などにより、その時代はわずか10年間で幕をとじ、絵本は散逸して
しまいます。
が、それらの絵本に深く感銘をうけ、影響をうけた他国の画家たちにより
収集されていたのです。
日本でも画家のもとで大切に保管され、2004年に、芦屋市立美術博物館、
東京都庭園美術館で、貴重な250冊の絵本の展覧会が開催されました。

本書は復刻版ですが、そんな希少な絵本を日本語訳で読めることに心躍ります。
文章はロシア語原文と、日本語訳文が同ページに併記されています。

ピョートル・ミトゥーリチとヴェーラ・フレーブニコワは、
日本でも絵本画家としてご活躍のマイ・ミトゥーリチのご両親です。
おふたり合作という貴重な当時挿絵が、鮮やかによみがえっています。