平和をこわす仮面にこめたレオニの思いとは? レオ・レオニ×谷川俊太郎「みどりのしっぽのねずみ かめんにとりつかれたねずみのはなし」好学社・刊

「みどりのしっぽのねずみ かめんにとりつかれたねずみのはなし」 レオ・レオニ/谷川俊太郎/好学社

みどりのしっぽのねずみ
かめんにとりつかれたねずみのはなし
レオ・レオニ/作 谷川俊太郎/訳 好学社

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もりのおくまった片隅に、のねずみたちが平和に暮らしていました。
その隠れ家はこわいものにみつかったこともなく平穏無事な
毎日を過ごしていました。

ある日、通りかかったまちねずみに「マルディ・グラ」について
聞いたのねずみたちは、すっかりその様子のとりこになってしまいました。
自分たちも「マルディ・グラ」をやろう!と用意をはじめました。
真夜中になったらかぶる、恐ろしいけだものの仮面も用意しました。

「マルディ・グラ」の日、夕方から歌ったり踊ったりたのしくすごし
いよいよ、仮面をつけておどかしあう夜がやってきました。
仮面をつけたのねずみたちは、だんだん自分の存在を忘れて
自分はほんとうにおそろしいけだものだと思いはじめました。
だれもかれもが、お互いを疑い、憎しみはじめ
それから毎日、平和だったのねずみたちの暮らしは一変しました。

レオ・レオニが語る仮面とはいったい何でしょう。
心に潜む不安や恐怖、憎しみや争いでしょうか。
それらは、平和な暮らしをこわし、世の中を一変させるきっかけに
なると、レオニは語りかけているのでしょうか。

仮面にとりつかれたのねずみたちは、幸福なことに仮面の呪縛から
のがれることができます。
自分たちのほんとうの姿を思い出し、平和な暮らしを思い出します。
仮面のことは、遠い思い出の中にしまいこまれ、ほとんど忘れ去られて
しまいます。

もし、人間が仮面にとりつかれたら、のねずみたちのように
平和な暮らしをとりもどし、自分たちの生活を守ることができるのでしょうか。
いえいえ、とりかえしのつかない世界が待っているような気がします。