難民キャンプにやってきた心やさしい女の子ルブナのものがたり「ルブナとこいし」
「ルブナとこいし」
ウェンディ・メデュワ/文 ダニエル・イヌュ/絵
木坂涼/訳 BL出版
イギリスの絵本です。
「世界のどこかにこんなこどもがいます。」
ルブナのようなこどもたちに思いをはせるものがたりです。
難民キャンプにお父さんとふたりでやってきたルブナ。
ルブナは浜辺で拾った大切な小石に、にっこり笑った顔をかきました。
こいしちゃんはルブナの一番の友だち。なんでも話しました。
ある日、難民キャンプにアミールという男の子がやってきました。
ルブナがこいしちゃんを見せると、ふたりはあっという間に
友だちになりました。
しばらくして、アミールとお別れの時がやってきました。
お父さんが住むところをみつけ、ルブナは難民キャンプを出ることに
なったのです。
泣いているアミールに、ルブナは一番大切な友だちを差し出しました。
ルブナの過去や未来は、詳しく描かれていません。
ルブナに何があったのか、これからどうなるのか、想像しなくてはなりません。
ルブナのような子どもがたくさんいることを、まず知ることから
はじめなければなりませんね。
小石のようにルブナの気持ちに心を寄せるができるでしょうか。
ダニエル・イヌュの絵は、難民キャンプのおはなしなので
どことなく影もあるように感じますが、けっして暗くはなく
あたたかくのびやかです。
ルブナは逆境にもめげず、やさしい心の持ち主に育っていること
子どもというのは、どんな時も未来に向かって生きてこうとする本能が
備わっていること、そんな前向きな気持ちで、描かれているのかもしれません。
難民キャンプは、日本では遠い国のできごとで、想像することさえ
むずかしい現状ですが、絵本を読むと、ルブナやアミールや
こいしちやんをとおして、ほんのちょっとかもしれませんが
身近なことに感じられると思います。