オーストリアの国際アンデルセン賞画家、リスベート・ツヴェルガーのイソップ12の物語

リスベート・ツヴェルガー「イソップ12の物語」

イソップ12の物語
リスベート・ツヴェルガー/絵
イソップ/原作 吉田新一/訳 大平社
★絶版★

本の状態などはこちらでご覧いただけます。

絵本の巻末に訳者の吉田新一氏の興味深い解説が載っています。
それによると、イソップは紀元前600年頃に生まれた人で
「イソップ寓話」は、イソッフが人々に語ってきかせた話が
人づてに広まったものだそうです。
現存するのは後世に編集されたもので、イソップが語っていない
他の寓話や民話もふくまれているそうです。
日本に最初に伝わったのは、約400年前の1593年(文禄2年)です。
とても古くからあるのですね。

本書は、1989年にオーストリアで出版されたもので(日本語版は1990年に初版)
オーストリアの人気絵本画家、リスベート・ツヴェルガーが
数ある「イソップ寓話」の中から12編を選んだイソップ絵本です。
「町のネズミといなかのネズミ」「羊飼いの少年とオオカミ」
「キツネとぶとう」の他、「人間と森の神サテュロス」「イヌとブタ」
「月の親子」なども選ばれています。

リスベート・ツヴェルガーは、世界的な数々の賞を受賞していますが
1990年には名誉ある「国際アンデルセン賞画家賞」を授与されました。

見開き頁の片側頁は物語文、片側頁は絵で、それぞれの物語に1枚の絵が
添えられています。

近景や遠景の構図、アオリやフカンの視点、インクペンで書かれた繊細な線
水彩のやわらかな色彩など、物語の情景を巧みな表現力で描き出しています。

紀元前という古来からたくさんの書物となり、伝えつづけられてきた
イソップ寓話を、当代きっての絵本画家が今に伝えられています。